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発達障害 / ASD ADHD LD

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発達障害とは

1. 発達障害とは?

発達障害とは脳の機能の障害です。「発達障害がなぜ起こるのか?」、それは医療の世界でもまだはっきりとした答えは出ていません。しかし、生まれた瞬間に決まっている障害であり、「親の子育ての仕方」とは全く関係がありません。

2. 発達障害の種類

発達障害の主な種類は次の3つです。

  • (1)自閉症スペクトラム(自閉スペクトラム障害)
  • (2)ADHD(注意欠如多動性障害)
  • (3)限局性学習症(LD)

これ以外にも「吃音症」など、その枠が今後広がる可能性はあります。
また、それぞれの障害が重複することが多いのも発達障害の特徴です。

3. 発達障害の特徴

発達障害の主な特徴は次の3つです。

  • (1)行動特性に何らかの特記すべき異常がある
  • (2)その異常は乳幼児から見られ、成人後も残る
  • (3)その異常が要因となって、生活に支障をきたす

発達に特性を持つ方は、ある研究では日本の総人口の6割にも及ぶといわれています。発達障害は、環境因子と大きな関係があり、早期の適切な療育により、発達に偏りのある方も、発達障害に悪化することを防ぐことができます。また、得意な面を延ばすことにより、定型発達の方より優れた才能を発揮できる可能性があります。

4. それぞれの発達障害の特徴
  • (1)自閉症スペクトラム(自閉スペクトラム障害)の特徴
    • 自閉症スペクトラムの発症率は人口の0.6%~1.0%
    • 男児:女児 = 4:1 (高機能自閉症 7:1)
    • 原因は脳の構造的、機能的異常
    • 自閉症スペクトラムは遺伝性がある
      一卵性双生児の一致率 70%~90%
      二卵生双生児の一致率 5%~10%
    • 「心の理論」がわからない ⇒ 他人の立場に立って考えるのが苦手
    • 相手の表情を見分けるのが苦手(目が合わない)
    • 周囲の状況から学習するのが苦手
    • 特徴的な言語特性(省略された言葉がわからない、字義通り性・比喩の失敗など)
    • こだわりが強い(状況の変化が苦手、予定の変化が苦手、常動行動など)
    • 感覚の偏り(感覚過敏、感覚鈍麻)
  • (2)ADHD(エーディエイチディ)の特徴
    • a. 不注意
      適切な対象に注意を向ける、集中を持続することが苦手(気が散りやすい、忘れ物が多い、片付けが苦手など)
    • b. 多動性
      落ち着きがなく、じっとしているのが苦手(立ち歩き、不適切な場所で騒ぐなど)
    • c. 衝動性
      自分の行動を抑止、抑制することが苦手(順番待ちができない、つい手が出てしまうなど)

    女性は(a)が優位、男性は(b、c)が優位な傾向が見られます。

    現在、下記の3つの経路モデルの説が有力です。

    • (i)実行機能システムの破綻
    • (ii)報酬系のシステム障害

  • (3)局限性学習症(LD)の特徴

    知的発達に遅れはなく、聴覚・視覚機能にも問題がないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」ことが、極端に苦手な状態にあります。

    局限性学習症の主なものはa〜cの3つです。

    • a. 読字障害(ディスレクシア)
      字を読むことに困難がある症状です。読字障害は学習障害と診断された人の中で一番多く見られます。
    • b. 書字表出障害(ディスグラフィア)
      文字や文章を書くことに困難が生じる症状です。字が全く書けないわけではなく、人によって現れる症状は違います。脳損傷による症状と区別するために「発達性読み書き障害」と呼ばれることがあります。
    • c. 算数障害(ディスカリキュリア)
      数字そのものの概念や、数量の大小、図形や立体問題の理解が難しくなる症状です。

私の経験

私は、発達障害であることを知らずに、社会人になりました。私の体験から皆さんへ何かお伝えできれば幸いです。

【小・中学校時代】

勉強の成績は比較的優秀でしたが、学校では先生に常に怒られていたことを覚えています。小学校時代、4年生以外は、厳しい女性の先生でした。集団活動が苦手な私は、注意を引くいたずらをわざとやって先生に怒られ、他の子の注目を浴びることを楽しんでいました。
夏休みの宿題はやる気になるのは毎年のように夏休み終了1日前です。自由研究は好きだったので、両親がいろいろチャレンジさせてくれ、今思うとありがたいことです。
高校の受験勉強を開始したのは受験の3か月前でした。何をするにも、長く継続することは苦手で、超短期集中型でした。私は、ADHDの特性全開の小中学校生活を送りました。周りの友達がとてもよくしてくれたので、楽しく過ごせたのだと思います。

【高校時代】

高校生活は勉強に励んだ記憶はなく、ボート部の活動を頑張っていました。好きなことには集中できるが、やりたくないことには全く取り組めない発達障害の特性がみられます。高校2年生の文化祭までの間、部活動は禁止でしたが、大会が文化祭の翌週だったため、担任の先生から「練習していいよ。文化祭の準備はしなくていい。」と秘密で練習させてくれました。おそらく、私があまりにも文化祭の準備をしないので、私の態度に困った担任の先生が、他の先生に相談していただいた結果だと思います。そのおかげで、私は、インターハイに行くことができ、大きな自信を持てました。

【大学時代】

在学中は、アメフト部の活動が生活の中心でした。大学を卒業できたのは、友人がノートを貸してくれたお陰です。また、大変多く紛失や遺失をして、人によく迷惑をかけました。財布は特によく無くしました。アメフト部では、仲間や恩師に恵まれ、4年生の時にはキャプテンを任せてもらいました。卒業間際、就職活動を一切しない私を気にかけた監督から、社会人アメリカンフットボールリーグに所属する会社を紹介され無事就職しました。就職もそうですが、何かに集中するあまり、他の事がなにもできなくなるのはADHDの特性だったと今、思います。
部活は、4年生の12月まで大会があり、3年生から就職活動をした人もいましたが、私は就職のことは全く考えず、心配もしていませんでした。ここにも「先の見通しを持てない」「計画性を持てない」など、実行機能が欠如しがちなADHDの特性が出ていたのだと思います。しかし、必要な瞬間、驚くべき力を発揮する集中力や強みも理解できました。

【社会人になって】

30代で東京から仙台に異動になり、数年たった時です。職場の上司との人間関係がうまく行かず、「うつ」と「アルコール依存症」を発症しました。アルコール専門を受診し、そのまま入院でした。3か月の入院でアルコール依存症から回復しました。しかし、当時は自分自身の発達障害のことはわからず、「うつ」も「アルコール依存症」も「会社の人間関係」がきっかけで発症したのだと勝手に思っていました。
自分の発達障害を受容したきっかけは、ヴィストに入社し、発達障害の子どもたちの支援を始め、勉強をするうちに「自分もそうかも?」と思い始めたことです。当時、妻のすすめもあり、病院で心理検査を受け確定しました。今まで生きてこられたこと、自分の発達障害を受容できたことは、支えてくれた妻のお陰と感謝しています。

【そして、現在】

私は今でも、自分の発達障害の特性〈忘れることが多い、すぐにかっとなる、など〉で、周囲に迷惑をかけたり失敗をしています。それでも、自分の強み〈思ったことを実現する力、困った人にとことん寄り添う力、など〉を発揮して、発達障害や不登校の子どもたちの支援に携わっています。そして、自分の経験が少しでも役に立ち、子どもたちや保護者の方のために活動をしています。こんな私にも、活躍できる場がたくさんあります。皆さんも発達障害の人が楽しく活躍できる場や社会、環境づくりのため一緒に頑張りましょう。困った時には、私にいつでも相談してください。

発達障害Q&A

Q1.発達障害とはどのような障害でしょうか?
A.

代表的な発達障害には、自閉症スペクトラムと、注意欠陥多動障害(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。生まれつきの脳の機能の障害であり、親のしつけや愛情不足によって起こる心の病気や本人の性格的な要因によるものでは全くありません。また、近年では虐待を受けた子どもは、発達障害と同じように脳が障害を持ってしまうことが指摘されています。

Q2.発達障害はいつか治りますか?
A.

発達障害は脳機能の先天的な障害であり、残念ながら治る病気ということではありません。発達障害の子どもさんは日々成長し、得意なところ、不得意なところがたくさんある存在です。ただ、不得意なところがよく目立ってしまうので、本人や周囲の方が社会生活に困難を感じるケースが多くみられます。したがって、早期に適切な療育を行い、その子どもの発達を見守り、理解する必要があります。そして、周囲の配慮によって、より快適な社会生活を営むことができるようになります。

Q3.発達障害と「発達に特性のある子」の線引きはどこにありますか?
A.

DSM-5(米国精神医学会の診断基準)による発達障害の診断基準の中に、「社会的、学業的、職業的な機能が障害されている(ADHDの診断基準)」とあります。つまり、発達障害の診断とは、その人の性格や人間性を決めるためのものではなく、「支援を行なう必要があるかどうかについて、医療サービス、福祉サービスを利用するための証明書」のようなものです。子どもが「生活のどこに困難を抱えているのか?」を発見していくことで、その子が心豊かな生活を送る〈きっかけ〉を診断によって、つかめるのではないかと私は考えます。

Q4.保育園や幼稚園・小学校で、子どもが友達と上手く遊べないなど、集団活動が苦手です。病院に行くべきでしょうか?
A.

まず、現在の状況を改善するため、保育士・学校の先生としっかり相談することをお勧めします。本来なら、子どもたちは登園・登校が楽しいはずですが、子どもさんが集団活動でうまく行かない背景には何があるのかを、先生方と一緒に考えてみる環境が必要だと思います。中には、「一人遊びしかしない」などの悩みもあると思いますが、その子どもが「登園・登校して楽しい」と感じているかどうかが最も大切です。
残念ながら、そういう環境が整わない場合には、病院、福祉、専門家、それぞれのサポートを積極的に求めては、いかがでしょうか。

Q5.発達障害の診断を受けました。子どもの将来がとても心配です。
A.

保護者さんの心中お察しいたします。発達障害の場合、不得意なところにまず目が行ってしまいがちです。しかし、他の子と比較するのではなく、その子に関して得意な部分は必ずありますので、安心してください。
そして、小学校高学年になったら将来の進路や社会人になるにはどうするかなど、早めに適切な支援機関への相談をお勧めします。小学校・中学校では支援級などで支援を受けられてきた子どもが、高校進学とともに支援が無くなり、うまく立ち行かなくなるというケースを沢山見てきました。当所でもご相談に応じていますので是非ご利用ください。

Q6.発達障害と薬に関して教えてください。
A.

発達障害支援の基本は、本人支援、保護者支援、環境調整がメインになります。早期から適切な支援を受け、本人が楽しいと思える環境であれば、未就学~小学校低学年までの間に、子どもは驚くほど成長します。そして、薬はあくまでその環境調整ができない場合の一時的な補助であると私は考えています。
現在、ADHD(注意欠如多動性障害)のお子さんには効果的と思われる薬が存在するのも確かです。ただ、副作用等の問題もありますので、担当医としっかり現状を確認・相談しながら服用を検討することが大切です。